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留学記:University of South Australia

2018年02月13日NEWS

半年や1年の留学から帰国した学生が、日本での生活を再開し、それぞれの留学地で得た経験を胸に、新たな目標に向けて歩みだす時節となりました。今回お届けするのは、世界教養学科一期生の中島奈々絵さんの留学記です。中島さんは、オーストラリア・アデレードの南オーストラリア大学(University of South Australia) への留学から帰ってきました。

留学は、人生のうえでのとても大きな一コマになりえます。大学での勉強、日々の生活、ちょっとした旅行や冒険など、留学期間中に体験したこと、挑戦したことのすべてが、自分自身をみつめるきっかけとなり、これから自分が歩む道について考える指針になります。

ここで紹介する中島さんの留学記から、ぜひ、留学によって経験できることの豊かさ、深さを感じ取ってください。


留学記
―University of South Australia

留学のきっかけ

2年次第一回目のTOEFL。春に実施されたその試験の結果を見て、初めて留学を考えるようになりました。もう少しで全額支援制度を利用できるのだから、残り一か月勉強して、チャレンジしてみるのもいいかもしれないと。そして何より、以前から勉強したいと思っていた名古屋外国語大学では開講していない科目を学びたいという思いが大きくなっていました。

私は大学入学時は留学を意識しておらず、ただ世界の人々が何を思い、どんな生き方をしているのか知りたいと考えていました。つまり、勉強するためではなく、生活を体験するために外国に行きたいと思っていました。もう一つ留学を意識していなかった理由として、もし留学するなら留学費用全額支援制度を利用することを自分の中で条件にしており、そして、その制度は自分の能力では無理だと思って諦めていた、ということがありました。そのため、学校とは関係なく、個人で長期休みに海外ボランティアやファームステイをするために資料を集めたり、お金を貯めたりするつもりでした。しかし、実際は授業や課題をこなすのに精一杯で、ほとんど何も進まず1年が過ぎてしまいました。もし2年の春、あの時も諦めていたら、私が留学に行くことはなかったのかもしれません。

初めての連続

私にとって留学は初めてのことばかりでした。一度も海外に行ったこともなければ、親と離れて暮らしたこともなかったからです。また、食事なしのホームステイだったので、自炊しなければなりませんでした。しかし、意外と不安になることもなく、そんな環境の中で自分がどうなるのかとむしろ楽しみにしていました。掃除や料理などの家事は好きでしたし、寂しくなったらいつでも連絡は取れるからです。どちらかと言うと、勉強についていけるか、英語が通じるかという方が心配でした。

大学の授業

南オーストラリア大学の学部授業では、「製品デザインの基礎製図演習」、「室内インテリアの設計研究」、「ホスピタリティの研究」の3つを履修しました。一番苦労したのは、やはり、インテリアの授業でした。以前から興味はあったものの知識はゼロでした。また、毎回レクチャーの前に予習用レクチャー動画があり、それを見ないとレクチャーは理解できません。この予習をするのにものすごく時間がかかりました。もちろん、字幕はついておらず、聞き取れないところは何回も聞き、つづりを知らない専門用語を調べるのは大変でした。こうして理解して授業に出ても、また頭の中は「?」でいっぱいになりました。しかし、他の学生も全部は理解出来ていない様子で、グループで助け合いながら何とか授業を乗り切ることが出来ました。

学部授業を受けたことは、留学の中で一番やって良かったと思うことです。今までずっと勉強したいと思っていたことが学べ、大変でしたが楽しかったです。自分がやりたかったことができ、嬉しかったです。しかし、勉強していくうちに、自分が思っていたのとは何か違う、本当に勉強したいこととは少しずれていると感じるようになりました。学部授業を受けたからこそ、自分が何を知りたいのか、何を学びたいのか、明確になりました。今は、周囲を取り巻く環境、つまり、音、光、色などが人にどのような影響を与えるのかについて研究したいと思っています。認知心理学をデザインに生かす。これが次に私が学びたいことです。

あたたかい気持ちになれる国

留学中に、何度も私は、現地の人から温かい言葉をかけてもらいました。優しく親切な人たちに出会い、あたたかな気持ちになりました。

祝日で学校が休みで、友達と遊びに行く予定でした。バス停でバスを待っていた時に、車が一台私の前に止まりました。すると、おばさんが窓を開けて、「今日は祝日だよ! バス来る? シティまで乗せてあげようか?」と声をかけてくれました。

オークランドからアデレードに向かう飛行機の中、くしゃみをした私に、通路を挟んだ隣の席のおばあちゃんが"Bless you"と言ってくれました。

ゴールドコーストに旅行に行った時のことです。ホテル近くの駅に着くと、今まで体験したことのないものすごい雷雨でした。夜も遅かったので、早くホテルに行こうと、少し雨風が弱まった時にホテルに向かって歩き始めました。友達と二人、傘を差して歩いていると、駅の駐車場からお姉さんが声をかけてくれて、ホテルまで送ってくれました。またその2日後、うっかりホテルと反対方向のバスに乗ってしまい、次のバス停で降りて、ホテル行のバスを調べていました。慌ててケータイで調べている私たちに気付いたのか、そこに止まっていた別のバスの運転士さんが「大丈夫? どこに行きたいの?」と声をかけてくれて、どのバスに乗ればいいのか教えてくれました。

もし自分だったら同じことができただろうか。相手が日本人であってもできただろうか。助けてあげたい気持ちはあっても、実際話しかけるのは勇気のいることだと思います。そう考えると、見ず知らずの、もしかしたら言葉が通じないかもしれない外国人に自然に声がかけられるのはすごいことですよね。

自分で体験してこそ

留学期間の半分が過ぎた頃から、帰国してからのことを考えるようになりました。学校が始まって、就活があって、就職して......。自由な時間があまり持てないことに気が付きました。だったら今やろうと思い立ち、2つのことに挑戦しました。時間がある今のうちにやろうと思ってしたことでしたが、私に大切なことを気付かせてくれました。読むだけ、見るだけ、聞くだけでは分からないことが、やってみたから分かる。改めて実感できる。他の誰でもない自分が体験することの意味を教えてくれました。

挑戦したことの1つ目はファームステイです。ニュージーランドのクライストチャーチとワイヘキ島の2か所へ行きました。ソーラーパネルで蓄電した電気を使い、林で集めた薪で暖を取り、庭で採れた野菜を料理する、というほぼ自給自足の生活を体験しました。シャンプーや歯磨き粉などは、もちろん、自然に優しいオーガニックです。自然と動物と共存するということは、自然にあるものを使い、自然に合わせて生活する、ということです。そして、自分が使うエネルギーや使い終わったものが生態系にどんな影響を与えるのか考え、自分の行動に責任をもつということだと気づきました。

そして、もう1つは一人旅です。一人旅は自由がきいて、自分と向き合う時間にもなるしいいなと思っていましたが、その場で誰とも気持ちを共有できない寂しさを感じました。綺麗な景色や美味しいものに感激し、楽しかったのですが、誰かと感情を分かちあっていたら、もっと素晴らしい旅になっていたのかもしれません。

これらのことは外からの情報でも十分推測できたことだと思います。しかし、身をもって体験したからこそ、これからの自分の行動や考え方のもとになり、根拠のある自信、説得力のある言葉につながっていくのではないでしょうか。

自分の気持ちと向き合い、挑戦すること

私は心配性であり中途半端に終わるのも嫌いなので、やりたい気持ちはあっても、挑戦する前に考えすぎてしまい、結局何もしないまま終わることが多かったです。しかし、留学を決めてからはそんな気持ちは振り払い、自分の気持ちに正直でいるよう心掛けてきました。もちろん、不安になることも辛いなと感じることもありました。途中で自分の気持ちを見失いそうになることもありました。しかし、始めてみると案外どうにかなる時もあり、大変な時は誰かが助けてくれます。たまにはあまり深く考えず、まずやってみる時があっていいと思います。また、人によって感じ方や考え方は違うので、誰かがこう言ってるからとやめようとするのはもったいないです。これからも自分の気持ちに正直に生きて、いろんな経験をしていきたいです。


大学のあるアデレード中心部からトラム(路面電車)で25分ほど行ったところにあるグレネルグビーチ。ビーチ沿いに広がる広場では、読書をしたり、昼寝をしたり、友達とのおしゃべりを楽しんだり。ここはゆっくりと時間が流れる場所でした。

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カフェの街、メルボルン。お目当てのカフェに行く途中でかわいいオレンジ色のバイクを発見。お店の雰囲気とぴったりで思わずパシャリ。

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世界一の星空といわれる、ニュージーランド中部テカポ湖周辺。宿で知り合ったワーキングホリデー中の日本人の方に教えてもらい撮影。空一面に星が広がっていました!写真では伝わらないのが残念。

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ゴールドコーストで気球に乗った時の一枚。カメラのジオラマ風に撮影できる機能を使い、ミニチュアのおもちゃっぽく撮影。この日は朝4時集合で、30分ほど飛行した後、ワイナリーで美味しい朝食をいただきました。

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