学科長メッセージ

「世界教養」とは

「世界教養」は、あまり聞きなれない言葉かもしれません。そこでまず、「教養」について考えてみましょう。普段の会話のなかで「教養」と言うとき、それは豊かな知識を指していることが多いのではないでしょうか。これについて、もう少し考えてみましょう。

元来「教養」とは、かつてヨーロッパで「リベラル・アーツ(自由学芸)」と呼ばれていたものです。重要なのは、「リベラル(自由)」という点です。人間は自分でも気づかないうちに、―「常識」であれ、「伝統」であれ―何かに捕らわれてしまうことが少なくありません。当たり前である、問うまでもない、として、考えることを止め、自由ではなくなってしまいます。

そうした束縛から人間を解放するのが「教養」です。ある事物、ある出来事を生み出した文化、その背景にある歴史、思想までをも理解することができたとき、人間は束縛から解き放たれます。このように自由な生き方を可能にする力、それこそが本物の「教養」です。

「世界教養」という学科の名称には、そうした意味での「教養」を世界という舞台で通用するものにしたい、という願いが込められています。世界のさまざまな文化現象を理解することはたやすいことではありません。ときには、奇妙な習俗、理解不能な慣習と、片づけたくなるかもしれません。しかし、この学科で四年間学ぶことで、きっと世界は別の顔を見せることでしょう。そして自分自身についても、少し離れたところから見つめなおし、新しい視点を獲得することができるようになるのではないかと思います。

世界教養学科長 八木久美子

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