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留学体験記:TESSⅡ Kansas State University

2024年10月21日NEWS

留学体験記(TESSⅡ)杉浦もも子
留学先:Kansas State University

この留学記では、「留学後の私から留学前の私への助言」という形で私の留学体験を書きます。その理由は、留学中の体験は人それぞれで正解がないからです。同じ時期に同じ学校に行っても、全く同じ体験をするわけではありません。「こんな体験をした人がいるんだぁ~」程度に読んでいただけたら幸いです。

~留学前の私へ、留学後の私より~
国・学校選び編

カンザス州立大学はカンザス州マンハッタンに位置する大学です。アメリカの大学の中では比較的小さなキャンパスですが、自然豊かで趣のある学校です。きれいな図書館や食堂、病院、無料で利用できる運動施設などが備わっています。

国や学校を選ぶにあたって重要なことは、良い面だけを見ないことだと思います。例えば、「ネイティブ英語を身に着けたい」という目標を持ち、比較的英語訛りの少ない地域を選ぶとします。このとき、「英語訛りが少ない地域とはどのような地域なのか」を考える必要があります。実際、カンザス州は英語訛りが少ない地域と言われていますが、人口の約80%を白人が占めており、馴染みにくいと感じることが多々ありました。様々な角度から吟味して、国や学校を選んでください。とは言っても思い通りにならないのが留学です。留学後は腹をくくり、楽しみましょう。

前期:ELP(English Learning Program)編

ELPはListening, Reading, Writing, Speakingの4つで構成されています。どれも10人に満たない少人数クラスでした。ELPは外大での授業をちゃんとやっておけば大丈夫。ただ、最初は他の国の生徒に圧倒されます。私は「言葉に詰まる→周りの人の顔を見る→余計に焦る→頭真っ白」という状況によくなりました。解決方法は慣れです。慣れるしかありません。重要なのは、できたことに目を向けること。そして、友達を作ること。ELPは同世代の非英語圏出身者同士が繋がり合う絶好のチャンスです。ここで得た友人は、異国の地で生活する戦友として、大きな心の支えになります。「大丈夫、なんとかなる」というマインドで行きましょう。

後期:学部授業編

学部授業では、Philosophy of Science, Psychology, American Ethnic Study, Global Geographyの4つを受講しました。Ethnic Studyを選んだ理由は、歴史上、差別をする側として描かれる白人の学生が、どのような姿勢で差別と向き合っているのかを知りたかったからです。またGeographyは、アメリカで出会った友人たちの出身国をもっと知りたいと思い受講しました。残りの2つを受講した理由は「おもしろそう」だからです。

結論、とても大変。授業内容や課題についていくことはもちろん、ELPとは違い、自分だけがアジア人(他の生徒のほとんどが英語圏出身)であったことも、学部授業に慣れるのに時間がかかった要因の1つだと思います。最初の1、2週間は授業の前から緊張して、深呼吸してから教室に入っていました。学部授業では「なんとかなる」マインドだけでは通用しません。他の人に相談しましょう。ELPの戦友たちと辛さを共有し、話しやすい大人に助けを求めましょう。辛いときに助けを求めることは、とても重要なことです。

衣食住編

<衣>
季節に適した物を使いましょう。私のルームメイトは節約のため、夏用の掛布団を冬でも利用していました。-25℃では凍えます。冬用を買いましょう。

<食>
他の国の文化を知るために、様々な国の食生活を体験することは素晴らしいことです。しかし、節約などの理由で、かたくなに日本食を避けることはやめましょう。メンタルがやられます。

<住>
部屋を選ぶとき、あなたは「他国の人とルームメイトになれたら、違う言語や文化を学ぶことができる!!」とやる気満々でした。しかし、思い出してください。あなたは一人になる時間が必要な人のはずです。留学に行ったからといって、あなたの性格や特性が変わるわけではありません。しっかり考えて部屋を選びましょう。そして、ルームメイトとは我慢しすぎない程度に交流しましょう。たくさんの学びがあるはずです。

留学中は、家の外にいるときにこそ頑張らなくてはなりません。衣食住は、そんな生活の中で癒しをくれる重要な要素です。衣食住があって初めて、外でも頑張ることができます。

イベント編

K-Stateでは留学生向けのイベントがたくさん用意されています。Conversation Café, Bible Study, Global Women's Community, Hikingなど様々です。ただ1つ言えることは、たくさんのイベントがあっても、自分から情報を集めて積極的に参加しなければならないということです。特に前期の間に交流の輪を広げましょう。学部授業とイベントの両立は、慣れるまでに時間がかかります。

一番印象に残っているイベントはWorld Friendshipという女性向けの活動です。World Friendshipは週に1回女性たちが集まり、裁縫や水彩画、英語などを楽しむグループです。もともと、アメリカのジェンダー問題について興味があり参加しましたが、ジェンダー問題以上に「生きる力とは何か」を教えてもらった気がします。私以外の女性のほとんどが、子供を持つお母さんです。そして、その多くが母国を離れ、旦那さんの仕事の都合でカンザスに来て慣れない環境下で子育てをしています。妻として、母として、移民として、様々な側面を持つ彼女たちに共通するのは「自分の人生を自分のために生きる」という、強くたくましい姿勢だと思います。「楽しむときは楽しみ、辛いときは辛いと公言し、自分の手に負えないことは人に相談する。」この彼女たちが持っている力を、私も身に着けたいです。

まとめ

留学を振り返って思うことは、もしこの助言を留学前に聞いていたとしても、私はこの助言に従わないということです。なぜなら、これら多様な経験が、私の留学を唯一無二の留学体験にするからです。挑戦することは時にキラキラ輝いて見えるかもしれません。しかし、そのキラキラが辛いに変わったときこそ踏ん張りどきです。大丈夫、辛かったことも終われば笑い話です。「今しかできないことを全力で」やってください。留学はあっという間です。一日一日を大切にね。