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留学記:Yukon College

2017年04月05日NEWS

世界教養学科一期生が、続々と留学記を届けてくれています。今回紹介するのは、坂口亜津佐さんの留学記です。 坂口さんは、2016年9月から、カナダのユーコンカレッジ(Yukon College)に留学しています。

坂口さんの留学記では、"First Nations"や"Oral history"について紹介してくれています。 これらの英単語を聞いて、みなさんはどういったことをイメージするでしょうか。 "First Nations"を直訳すると「第一の民族」となりますね。 この語は、ある土地にもともと住んでいた「先住民族」を意味します。 一方、"Oral history"とは、歴史書に書き記されてきた堅苦しい歴史とは異なる、人びとが口承で伝える生き生きとした歴史を意味します。

"First Nations"や"Oral history"という語について、なんとなくイメージがわいてきたでしょうか。 ここで紹介する坂口さんの留学記を読むと、よりイメージがわくはずです。 先住民とのかかわりの深いユーコンという場に留学し、大きな経験をつんでいる様子を、ぜひ感じ取ってください。


留学記
―Yukon College

ユーコン準州と"First Nations"

2016年9月からカナダ、ユーコン準州のユーコンカレッジに留学しています。授業はESLのクラスや環境についてのクラス、そして"First Nations"の歴史についてのクラスをとり、勉強しています。"First Nations"とはカナダの先住民の人々のことで、ユーコン準州には多くの"First Nations"が暮らしており、現在も伝統的な生活様式、文化の中で生活している人々が多くいます。また、ユーコン準州には文化施設があり、ユーコンカレッジ内にもランゲージセンターがあるなど、"First Nations"ではない人々からも彼らの文化・生活様式は大切にされていると私は感じています。

授業を通して得た貴重な経験

私が一番好きな授業は現在とっている"First Nations"のクラスです。課題や授業内容についていくのに必死ですが、毎回とても楽しく、授業を通してたくさんのことを学べていると実感しています。特に、前回のプロジェクトである、"Oral history"はとてもよい経験になりました。このプロジェクトは大まかにいうと、ユーコンに住んでいる人にインタビューをするというものです。私は9月から参加している"Heen Club"という"First Nations"の文化の一つであるビーズを使った手芸を学ぶクラブの先生にインタビューしました。テーマは手芸で、手芸に関する先生自身の思い出、経験などを中心にお話を聞きました。子どものころどのような環境で育ち、手芸を学んだか、手芸を教えてくれたおばあさんとの話、先生にとって手芸とは何かなど、30分の短いインタビューでしたが、留学に来て忘れられない経験の一つとなりました。なぜなら、このインタビューで聞いたことは、普段の授業を受けているだけでは知ることができないことだからです。授業というのは主に教科書に載っている大きな出来事、人々に暮らし、文化など大きなテーマがとりあつかわれますが、このインタビューは先生自身の記憶、経験などとても個人的な内容です。教科書には決して載っていないことです。本当に貴重な経験でした。

留学に来て新しく始めたこと

"Heen Club"について、勉強以外の活動としても書きたいと思います。今まで、手芸はほとんどやったことはなく、むしろ苦手なことでした。最初のオリエンテーションで"First Nations"の文化が学べるクラブがあると聞き、参加してみるとビーズを使った手芸のクラブで、最初は自分が手芸なんてできるわけがない、と思っていました。しかし、実際にやってみると、やり方はシンプルで完成まで時間はかかりますが、友人や先生たちと話しながらの作成はとても充実した時間です。

いつも考えていること

私は、留学に行きたいと思う気持ちは強くありましたが、明確な目的はぼんやりとしていました。とりあえず、英語の勉強がしたいなあと思っていました。しかし、今は英語の勉強だけでなく、英語を通してたくさんの新しいことを学べていると思います。今まで挑戦したことがなかったこと、挑戦しようと思ってもいなかったことに、カナダに来て挑戦しています。留学生活はあっという間に終わってしまいます。何事もやってみる。参加してみる。少し覗いてみる。目の前にあるものは全部拾うくらいの気持ちで毎日過ごしてきました。そうすることでたくさんの人と出会い、貴重な体験ができていると感じています。どのような留学にするかは、自分次第。残りの留学生活も、一日一日を大切に過ごしていきたいと考えています。


学校の校舎前の風景。右から順に、"First Nations"のアート、カナダの国旗、ユーコン準州の準州旗。学校内にはたくさんの"First Nations"のアートが置かれている。

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友人と友人のホストファミリーと一緒にユーコン準州内のドーソンシティに旅行した時の写真。後ろに見えるのはユーコン川。ドーソンシティはゴールドラッシュの時代にとても栄えた場所で、歴史的な建物が現在も多く残っている。

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一月から作成中のオクトパスバッグ(octopus bag)。名前の由来は、切れ目が8本あることからこう呼ばれている。ビーズの作業はかなり時間がかかるが、完成が楽しみ。

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